弱視のトレーニング:子どもと大人の研究結果
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公開された研究をもとに Optics Trainer チームが執筆しました。出典はすべて下記にリンクしています。
弱視のトレーニングは、家でゲームや練習をして弱いほうの目を追いつかせる、という簡単なものに聞こえるので魅力的です。実際にこうした仕組みの新しい家庭用治療もあり、そのうち2つは子ども向けに FDA の認可を受けています。標準的な治療はメガネ、アイパッチ、視界をぼかす点眼薬で、PEDIG の大規模な試験では、タブレットのゲームはアイパッチに及ばないか、メガネだけの場合を上回りませんでした。このガイドでは、弱視とは本当は何か、目の向きがずれる状態とどう違うか、子どもと大人の弱視訓練について研究で何がわかっているか、そして眼科の専門家の計画の一部として自宅で練習する方法を説明します。
弱視とは?斜視(目の向きのずれ)との違い
英語の lazy eye は、眼科では弱視(amblyopia)を指します。弱視とは、子どもの頃に片目(まれに両目)の視力が十分に育たなかった状態です。脳が強いほうの目に頼るようになり、弱いほうの目にあまり注意を向けなくなるため、メガネをかけても弱いほうの目ははっきり見えません。米国国立眼研究所(NEI)は、子どもの最大100人に3人がこの状態にあり、子どもの視力低下の原因として最も多いとしています。英語では「怠けた目」と呼ばれますが、実際に目が怠けているわけではなく、お子さんが何か悪いことをしているわけでもありません。
目が内側、外側、上、下に向く状態は、斜視という別の状態です。この2つはよく一緒に起こるため、混同しがちです。目の向きがずれていると、脳が二重に見えるのを避けるためにその目を無視することがあり、弱視につながることがあります。ただし、目がまっすぐでも弱視になることはあります。たとえば、片方の目だけメガネの度数がずっと強く必要な場合です。
この違いは治療にとって重要です。弱視の治療は、弱いほうの目の見え方をよくすることを目指します。斜視の治療は、目の向きをそろえることを目指します。NHS は、手術で目の向きをまっすぐにすることはできても、弱視の視力がよくなるわけではないとしています。主な心配が目の向きのずれなら、斜視のトレーニングのガイドをご覧ください。
まずは眼科検査から
弱視には、はっきりしたサインがないことがよくあります。子どもは強いほうの目でよく見えているので、何も訴えないこともあります。NEI は、すべての子どもが3〜5歳の間に少なくとも1回は視力検査を受けることを勧めています。
子どもが弱視かどうか、何が原因か、メガネが必要かどうかは、眼科検査でしかわかりません。よくある原因は、左右の目の度数の大きな差、目の向きのずれ、そして頻度は低いものの、白内障やまぶたの下垂など視界をさえぎるものです。原因によって計画が変わるので、何かの練習を始める前に正しく調べておく価値があります。
弱視の標準的な治療:メガネ、アイパッチ、点眼薬
米国眼科学会(AAO)、NEI、米国小児眼科・斜視学会(AAPOS)は、いずれも同じ中心的な治療を挙げています。その多くは自宅で行いますが、眼科医が処方し、経過を確認します。
- メガネ:多くの場合、最初の一歩です。3〜6歳の子ども84人を対象とした小児眼疾患研究グループ(PEDIG)の研究では、メガネだけで77%の子どもの弱いほうの目の視力が2段階以上よくなり、27%で弱視が解消しました。視力の伸びが止まるまでに、最大30週間メガネをかける必要があった子どももいました。
- アイパッチ(健眼遮蔽):1日のうち一定時間、強いほうの目を覆い、脳が弱いほうの目を使わざるを得ないようにします。
- アトロピン点眼:強いほうの目を毎日の点眼でぼかします。7歳未満の子ども419人を対象とした2002年の PEDIG 試験では、6か月後、アイパッチとアトロピンで視力が同じくらいよくなりました。
- 原因の治療:たとえば白内障やまぶたの下垂の手術で、その後にアイパッチを行うことがよくあります。
弱視のトレーニング、ゲーム、VR:研究でわかったこと
弱視のゲームの多くは、両眼用(ダイコプティック)です。左右の目に画像の別々の部分を見せるので、脳は両目を一緒に使う必要があります。これは昔ながらの練習とは異なり、試験で検証されてきたのはこの方法です。
タブレットのゲームを検証した大規模な試験がいくつかあります。
- 5〜12歳の子ども385人を対象とした2016年の PEDIG 試験では、1日1時間の両眼用 iPad ゲームは、1日2時間のアイパッチに及びませんでした。ゲームのグループで、割り当てられたプレイの大半を行ったのは約5人に1人だけでした。
- ほぼ全員が以前に治療を受けたことのある7〜12歳の子どもを対象とした2019年の PEDIG 試験では、Dig Rush という両眼用ゲームを加えても、メガネだけの場合を上回る効果はありませんでした。
- 4〜6歳の子どもを対象とした2022年の PEDIG 試験では、同じゲームは4週間の時点でメガネだけの場合よりわずかに効果がありましたが、8週間の時点では差はなくなっていました。
- 2022年のコクランレビューで条件に合ったのは、3〜8歳の子どもで両眼用治療とアイパッチを比べた試験1件だけでした。16週間の時点での伸びはアイパッチと同程度に見えましたが、著者らは確かな結論を出すには長期のデータがまだ足りないとしています。
FDA 認可のデジタル・VR 弱視治療
2つの家庭用デジタル治療が、FDA の弱視用デジタル治療機器のカテゴリーに登録されています。どちらも、左右の目の度数の差や軽い斜視(またはその両方)による弱視のある子ども向けの処方治療で、常にメガネをかけたうえで使うことを前提としています。
Luminopia は、テレビ番組や映画に手を加えて脳が両目を使わざるを得ないようにする VR ヘッドセットのプログラムです。FDA は2021年10月に4〜7歳の子ども向けに認め、2025年4月には4歳から13歳未満に対象を広げて認可しました。4〜7歳の子ども105人を対象とした主な試験では、週6日・1日1時間使い、メガネもかけた子どもは、12週間後に弱いほうの目の視力が約1.8段階よくなりました。メガネだけの場合は0.8段階でした。
NovaSight 社の CureSight は、子どもが動画を見る間、色つきのメガネとアイトラッカーを使います。FDA は2022年9月に4歳から9歳未満の子ども向けに認可しました。子ども103人を対象とした主な試験では、16週間、1日90分の使用で、1日2時間のアイパッチと同じ効果がありました。
これらの結果は、この2つの製品にだけ当てはまります。それぞれが独自の試験で、独自の設計、使用量、年齢層のもと、眼科医の処方のもとで検証されたものです。
子ども、10代、大人の弱視トレーニング
AAO は、弱視は7〜8歳より前に治療するのが最もよいとしています。それより年上の子どもでも治療が役立つことはあります。2005年の PEDIG 試験では、7〜12歳の子どもの約半数がアイパッチ、近くを見る作業、アトロピンでよくなり、メガネだけでは約4分の1でした。13〜17歳では、アイパッチが役立ったのは主に以前に治療を受けたことがない場合でした。AAPOS は、14歳くらいまでに治療を始めればまだ役立つことがあるものの、より幼いうちに始めた場合ほどではないとしています。
大人については、AAPOS は現在の弱視治療は効果がないとしており、NEI は大人では子どもより治療の効果が低いのがふつうだとしています。7歳以上の115人(平均年齢約21歳)を対象とした BRAVO 試験では、1日1時間・6週間の両眼用ブロック落としゲームは、プラセボ版のゲームと差がありませんでした。それ以前の実験室での研究では効果が報告されていましたが、この自宅で行う試験では確認されませんでした。
弱視のある大人でも、メガネを確認し、強いほうの目を守り、現実的に何ができるかを話し合うために、眼科検査を受ける価値はあります。
弱視は自宅で治せる?Optics Trainer の位置づけ
弱視の治療の多くは、すでに自宅で行われています。メガネをかける、アイパッチをする、点眼する、処方されたデジタル治療を使う、といったことです。診断やフォローアップのない自己流のプランでは、原因を見逃すおそれがあります。2016年の PEDIG のゲーム試験では、割り当てられたプレイの大半を行ったのは約5人に1人だけでした。
Optics Trainer は、iPhone、iPad、Android、ウェブブラウザ、Meta Quest で使える、ゲーム形式の視覚と脳のトレーニングアプリです。アプリの画面は日本語に対応しています。両眼モードは、上で紹介した両眼用(ダイコプティック)ゲームと同じ種類のしくみで、両目を開けたまま左右の目にそれぞれ別の目標が表示されます。スマートフォン、タブレット、パソコンでは赤青メガネを使い、Meta Quest では機能が組み込まれています。Symbol Order や Memory Grid などの記憶ゲームは、すべてこのモードに対応しています。
Optics Trainer は、上で紹介したどの試験にも含まれていません。弱視の診断や治療ではなく、FDA の承認(クリアランス)を受けておらず、日本で医療機器として承認されたものでもありません。メガネ、アイパッチ、アトロピン点眼、Luminopia や CureSight のような処方されるデジタル治療の代わりになるものでもありません。Optics Trainer は専門家による診断や処方された治療の代わりにはなりません。ご自身の状態については、眼科医や視能訓練士などの専門家にご相談ください。自宅での練習を計画と並行して行ってよいと専門家が判断した場合は、7日間無料でアプリを試せます。その後の料金は、App Store では月額 ¥2,500(Google Play とウェブ版は購入時に価格が表示されます)。年間プランもあります。
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ダウンロード無料。アプリは7日間の無料トライアル付き。ブラウザでは1日3回まで無料でプレイできます。
よくある質問
弱視のトレーニングに効果はある?
FDA 認可の Luminopia や CureSight など、処方される両眼用治療の一部は、それぞれの試験で子どもの視力をよくしました。しかし、タブレットのゲームを検証したいくつかの大規模な試験では、アイパッチに及ばないか、メガネだけの場合を上回りませんでした。AAO、NEI、AAPOS が挙げる中心的な治療は、メガネ、アイパッチ、アトロピン点眼です。
弱視は自宅で治せる?
弱視の治療の多くは自宅で行いますが、眼科医が処方し、経過を確認するべきものです。メガネ、アイパッチ、視界をぼかす点眼薬、一部のデジタル治療は、いずれも自宅で使われます。診断のないプランでは、メガネが必要といった原因を見逃すおそれがあります。
弱視の治療にはどのくらいかかる?
NEI は、数週間で視力がよくなり始めることが多いものの、最もよい結果が出るまでにはふつう数か月かかるとしています。試験では、治療は12〜16週間後に評価されることが多く、メガネだけで視力の伸びが止まるまでに最大30週間かかった子どももいました。伸びを保つために、あとで追加の治療が必要になる子どももいます。
大人の弱視は訓練で治る?
AAPOS は、現在の弱視治療は大人には効果がないとしています。大人を含む試験では、両眼用ゲームはプラセボのゲームと差がありませんでした。それでも、メガネや目の健康を確認するために眼科検査は役立ちます。
弱視に VR は向いている?
VR 治療の1つ、Luminopia は、特定の種類の弱視のある4歳から13歳未満の子ども向けに FDA の認可を受けており、試験ではメガネだけの場合より視力がよくなりました。この結果は、処方どおりに使ったこの製品に当てはまるものです。ほかの VR ゲームが弱視を治療できることを示すものではありません。
弱視と寄り目(斜視)は同じ?
違います。弱視は、視力が十分に育たなかったために片方の目がはっきり見えない状態です。目が内側に寄ったり、向きがずれたりするのは斜視です。よく一緒に起こり、斜視が弱視の原因になることもありますが、治療は異なります。
弱視トレーニングのアプリはある?
はい。Optics Trainer を含め、多くのアプリやゲームがあります。弱視の治療として FDA の認可を受けたデジタル製品はごく一部で、ほとんどのアプリは試験で検証されていません。どのアプリも、眼科の専門家の計画と並行してのみ使ってください。
出典
- American Academy of Ophthalmology. Amblyopia (lazy eye)
- National Eye Institute. Amblyopia (lazy eye)
- AAPOS. Amblyopia
- NHS. Lazy eye
- PEDIG. A randomized trial of atropine vs. patching for treatment of moderate amblyopia in children. Arch Ophthalmol. 2002
- Cotter SA, et al. Treatment of anisometropic amblyopia in children with refractive correction. Ophthalmology. 2006
- PEDIG. Randomized trial of treatment of amblyopia in children aged 7 to 17 years. Arch Ophthalmol. 2005
- PEDIG. Effect of a binocular iPad game vs part-time patching in children aged 5 to 12 years with amblyopia. JAMA Ophthalmol. 2016
- PEDIG. A randomized trial of binocular Dig Rush game treatment for amblyopia in children aged 7 to 12 years. Ophthalmology. 2019
- PEDIG. A randomized trial of binocular Dig Rush game treatment for amblyopia in children aged 4 to 6 years. Optom Vis Sci. 2022
- Tailor V, et al. Binocular versus standard occlusion or blurring treatment for unilateral amblyopia in children aged three to eight years. Cochrane Database Syst Rev. 2022
- Xiao S, et al. Randomized controlled trial of a dichoptic digital therapeutic for amblyopia. Ophthalmology. 2022
- Wygnanski-Jaffe T, et al. An eye-tracking-based dichoptic home treatment for amblyopia: a multicenter randomized clinical trial. Ophthalmology. 2023
- Gao TY, et al. Effectiveness of a binocular video game vs placebo video game for improving visual functions in older children, teenagers, and adults with amblyopia. JAMA Ophthalmol. 2018
- US FDA. De Novo DEN210005: Luminopia One. 2021
- US FDA. 510(k) K243819: Luminopia. 2025
- US FDA. 510(k) K221375: CureSight-CS100. 2022
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