自宅でできるビジョントレーニング:研究と始め方
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公開された研究をもとに Optics Trainer チームが執筆しました。出典はすべて下記にリンクしています。
自宅でのビジョントレーニング(ビジョンセラピー)とは、目と脳の働きを家で練習することです。体操やカード、パソコンのプログラム、アプリを使うことがよくあります。通院には時間もお金もかかるため、自宅でできる方法を探すご家族は多く、それは自然なことです。自宅だけで行うプログラムの研究結果は、症状によって異なります。このガイドでは、自宅でのビジョントレーニングとは何か、輻輳不全・弱視・斜視について研究で何がわかっているか、そして眼科の専門家の計画の一部として安全に練習する方法を説明します。
自宅でのビジョントレーニングとは?
ビジョントレーニングは幅広い意味をもつ言葉です。ふつうは、両目がうまく協調し、ピントを合わせ、スムーズに動くように、数週間から数か月かけて行う一連の目の体操を指します。毎週クリニックで行い、その間に宿題をするプログラムもあれば、すべて自宅で行うものもあります。
眼科医は種類によって線を引いています。米国小児眼科・斜視学会(AAPOS)は、輻輳不全のような両眼の協調の問題に対する視能訓練(orthoptic exercises)を、効果が証明された治療と位置づけています。一方、視覚の処理の仕方をより広く変えるとうたう行動的ビジョンセラピーについては、効果は示されていないとしています。AAPOS はまた、ビジョントレーニングがディスレクシア(読み書き障害)や学習の問題に役立つことは示されていないとしています。
自宅でのビジョントレーニングには、次のようなものがあります。
- ペンシルプッシュアップのような簡単な体操。小さな目標が1つに見えたまま、鼻に向かって近づけていきます
- ブロックストリング(ビーズを通した長いひも)や印刷したカードなどの道具
- 上達に合わせて難易度が変わるパソコンのプログラム
- 左右の目にそれぞれ別の課題を与えたり、奥行きや反応の力を練習したりするゲーム形式のアプリ
ビジョントレーニングは自宅でできる?
多くの場合はできますが、最初の一歩は自宅ではありません。目の問題の多くは見た目が似ています。かすみ目や二重に見える、頭痛、眼精疲労は、メガネが必要なこと、ピント調節の問題、両眼の協調の問題、あるいは治療が必要な病気から起こることがあります。違う力を練習しても、本当の原因は解決しません。
まずは両眼視機能の評価を含む総合的な眼科検査を受けましょう。眼科医、検眼士、視能訓練士は、両目がどこまで近くで寄せられるか、両眼の協調の幅がどのくらいあるか、メガネが必要かどうかを測定できます。米国眼科学会(AAO)の臨床向けウィキ EyeWiki は、メガネの度数の矯正がまず先であるとしています。
診断がついたら、担当の専門家に3つのことを聞いてみましょう。自宅での練習は自分に合っているか。どの体操を、どのくらいの頻度で行うか。いつ再検査をするか。
輻輳不全の自宅トレーニング:研究でわかったこと
輻輳不全(CI)とは、読書のような近くを見る作業のときに、両目を内側に寄せるのが難しい状態です。輻輳不全については、自宅とクリニックでの訓練を比べたランダム化比較試験がいくつか行われています。
2008年に Archives of Ophthalmology に発表された輻輳不全治療試験(CITT)では、9〜17歳の子ども221人を対象に、12週間の4つの治療を比較しました。毎週クリニックで訓練を受け、さらに週5日・1日15分の自宅練習をした子どもの約73%が成功または改善しました。これに対し、自宅でのペンシルプッシュアップは43%、自宅でのパソコン訓練とプッシュアップの組み合わせは33%、プラセボのクリニック訓練は35%でした。症状については、自宅だけの2つのグループはプラセボと差がありませんでした。
12件の試験をまとめた2020年のコクランレビューは、子どもでは、自宅練習を組み合わせたクリニックでの訓練のほうが、自宅でのパソコン訓練よりも成功例が多いという確実性の高いエビデンスがあるとしました。大人については、エビデンスは「明確ではない」としています。AAPOS は、自宅での治療で十分なことが多く、どれか1つの方法がはっきり優れていると示されたわけではないとしています。詳しくは輻輳不全のトレーニングのガイドをご覧ください。
弱視の自宅トレーニング
弱視(英語では lazy eye とも呼ばれます)は、子どもの頃に脳がもう一方の目を優先するため、片目の視力が十分に育たない状態です。米国眼科学会(AAO)は、治療としてアイパッチ、視界をぼかす点眼薬、視界をぼかすメガネ、手術を挙げ、さらに4〜7歳の子ども向けに処方されるバーチャルリアリティ治療も挙げています。治療は早く始めるほど効果的で、理想は7〜8歳より前です。
小児眼疾患研究グループ(PEDIG)は、主要な試験の多くを行ってきました。2003年には、7歳未満の中等度の弱視では、1日2時間のアイパッチが6時間とほぼ同じ効果だったと報告しました。2005年の PEDIG 試験では、7〜12歳の多くの子どもにも治療が役立ち、13〜17歳では主に以前に治療を受けたことがない場合に役立ったと報告されています。
両眼用(ダイコプティック)ゲームは、左右の目に画像の別々の部分を見せる新しい考え方です。PEDIG はランダム化比較試験でこれを検証しています。
- 子ども385人を対象とした2016年の PEDIG 試験では、1日1時間の両眼用 iPad ゲームは、1日2時間のアイパッチに及びませんでした。ゲームのグループで、割り当てられたプレイの大半を行ったのは約5人に1人だけでした。
- 以前に治療を受けたことのある7〜12歳の子どもを対象とした2019年の PEDIG 試験では、別の両眼用ゲームを加えても、メガネだけの場合を上回る効果はありませんでした。
- 専門家は、ゲームを続けられないことを大きな問題として指摘しています。
斜視の自宅トレーニング
斜視とは、両目が別々の方向を向いている状態です。AAO は大人の斜視についてのページで、最も一般的な治療として手術を挙げ、ほかにプリズムメガネやボトックス注射を挙げています。目の筋肉の体操については、輻輳不全についてのみ触れています。
つまり、目の向きがずれているとき、自宅での体操は検査や治療計画の代わりにはなりません。斜視のある人が治療の一部として体操を勧められることもありますが、それはあなたの目をよく知る専門家から指示されるべきものです。
子どもと大人の自宅ビジョントレーニング
上で紹介した試験の多くは子どもを対象としています。はっきりした計画、定期的なチェック、短く回数の多いセッションは、練習を続けやすくします。興味を失った子どもは練習をやめてしまいます。ゲームが注目されている理由の1つはそこにあります。
大人については、コクランレビューで見つかった輻輳の試験は小規模なものが数件だけで、結果は明確ではありませんでした。専門家と一緒に見通しを立て、計画を進めましょう。
どの年代でも、次の習慣が役立ちます。
- 毎日同じ時間に、短いセッションで練習する
- 何をしたか専門家が確認できるよう、簡単な記録をつける
- 新たに二重に見える、頭痛がひどくなる、目が痛むときは中止して相談する
- 調子がよくなっても、再検査には必ず行く
自宅ビジョントレーニングにおける Optics Trainer の位置づけ
Optics Trainer は、iPhone、iPad、Android、ウェブブラウザ、Meta Quest で使える、ゲーム形式の視覚と脳のトレーニングアプリです。アプリの画面は日本語に対応しています。Motor Fusion は、印刷したカードなど上で紹介した両眼の協調の体操と同じ種類の課題を使います。2つの画像がゆっくり離れていき、2つに分かれたらタップします。アプリに表示される結果は練習の結果であり、臨床的な測定値ではありません。Odd One Out と Front or Back にはそれぞれ輻輳(Convergence)版と開散(Divergence)版があり、負荷が上下するなかで奥行きを判断します。これは難易度が変わるパソコンのプログラムと同じ種類の課題です。両眼モードでは、両目を開けたまま左右の目にそれぞれ別の目標が表示されます。スマートフォン、タブレット、パソコンでは赤青メガネを使い、Meta Quest では機能が組み込まれています。これは PEDIG が検証した両眼用ゲームと同じ種類のしくみです。
Optics Trainer は、CITT や PEDIG の試験、上で紹介したほかの研究には含まれていません。診断や治療ではなく、FDA の承認(クリアランス)を受けておらず、日本で医療機器として承認されたものでもありません。また、眼科医が処方するメガネ、アイパッチ、クリニックでの訓練の代わりになるものでもありません。眼科の専門家の計画と並行して使ってください。臨床的な眼球運動の測定については、眼科の専門家向けに当社のクリニックサイトで Optics Tracker(英語) を紹介しています。Optics Trainer は専門家による診断や処方された治療の代わりにはなりません。ご自身の状態については、眼科医や視能訓練士などの専門家にご相談ください。
自宅での練習が計画に合うと専門家が判断した場合は、7日間無料でアプリを試せます。その後の料金は、App Store では月額 ¥2,500(Google Play とウェブ版は購入時に価格が表示されます)。年間プランもあります。
| ガイドで紹介した内容 | Optics Trainer の機能 | やること |
|---|---|---|
| 印刷したカードなどの両眼の協調の体操 | Motor Fusion | ゆっくり離れていく2つの画像が2つに分かれたらタップする |
| 難易度が変わるパソコンのプログラム | Odd One Out、Front or Back | 輻輳や開散の負荷が上下するなかで奥行きを判断する |
| PEDIG が検証した両眼用ゲーム | 両眼モード | 両目を開けたまま、左右の目にそれぞれ別の目標が表示される |
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ダウンロード無料。アプリは7日間の無料トライアル付き。ブラウザでは1日3回まで無料でプレイできます。
よくある質問
自宅でのビジョントレーニングに効果はある?
子どもの輻輳不全では、最大規模の試験で、自宅練習を組み合わせたクリニックでの訓練のほうが、自宅だけのペンシルプッシュアップや自宅でのパソコン訓練より良い結果でした。それでも、眼科医の団体の中には、自宅での治療で十分なことが多いとするところもあります。弱視では、子ども385人を対象とした2016年の PEDIG 試験で、両眼用 iPad ゲームは毎日のアイパッチに及びませんでした。ご自身の診断に合う方法は、眼科の専門家に相談してください。
眼科を受診せずに自宅でビジョントレーニングをしてもいい?
おすすめしません。似た症状でも、メガネが必要なことを含め、原因はまったく違うことがあります。まず両眼視機能の評価を含む総合的な眼科検査を受け、そのうえで自宅での練習が自分に合っているか聞いてください。
自宅用ビジョントレーニングキットには何が入っている?
キットには、ブロックストリング、ペンシルプッシュアップ用の目標、印刷したカード、パソコンのプログラムなどがよく入っています。道具はシンプルです。大切なのは計画で、どの体操を、どのくらいの時間、どのくらいの頻度で行い、いつ再検査するかです。その計画は専門家が立てるべきものです。
大人でも自宅でビジョントレーニングをしていい?
大人も自宅で練習できますが、大人を対象とした研究は子どもより少なくなっています。2020年のコクランレビューで見つかった大人の輻輳の試験は小規模なものが数件だけで、結果は明確ではありませんでした。眼科の専門家と一緒に進めてください。
自宅のビジョントレーニングで弱視は治る?
弱視は通常、できれば幼児期に、メガネ、アイパッチ、視界をぼかす点眼薬で治療します。両眼用ゲームも検証されていますが、PEDIG の大規模な試験ではアイパッチに及ばず、多くの子どもがプレイをやめてしまいました。自宅のプログラムは、眼科医の計画の一部としてのみ使ってください。
自宅のビジョントレーニングで子どもの読む力は伸びる?
CITT-ART 試験では、クリニックでの訓練によって輻輳不全の子どもの両眼の協調の指標は改善しましたが、読解のスコアの伸びはプラセボと変わりませんでした。AAPOS は、ビジョントレーニングがディスレクシアや学習の問題に役立つことは示されていないとしています。
出典
- CITT Investigator Group. A randomized clinical trial of treatments for symptomatic convergence insufficiency in children. Arch Ophthalmol. 2008
- CITT-ART Investigator Group. Effect of vergence/accommodative therapy on reading in children with convergence insufficiency. Optom Vis Sci. 2019
- Scheiman M, et al. Interventions for convergence insufficiency: a network meta-analysis. Cochrane Database Syst Rev. 2020
- AAPOS. Convergence insufficiency
- AAPOS. Vision therapy
- American Academy of Ophthalmology. Amblyopia (lazy eye)
- American Academy of Ophthalmology. Adult strabismus
- AAO EyeWiki. Convergence insufficiency
- PEDIG. A randomized trial of patching regimens for treatment of moderate amblyopia in children. Arch Ophthalmol. 2003
- PEDIG. Randomized trial of treatment of amblyopia in children aged 7 to 17 years. Arch Ophthalmol. 2005
- PEDIG. A randomized trial of a binocular iPad game versus part-time patching in children aged 5 to 12 years with amblyopia. JAMA Ophthalmol. 2016
- Holmes JM. Lessons from recent randomized clinical trials of binocular treatment for amblyopia. JAMA Ophthalmol. 2018
- PEDIG. A randomized trial of binocular Dig Rush game treatment for amblyopia in children aged 7 to 12 years. Ophthalmology. 2019
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