輻輳不全のゲーム・トレーニング:研究結果

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輻輳不全のゲームとは?

輻輳不全(CI)とは、読書などの近くを見る作業で、両目を一緒に内側へ寄せにくい状態です。近くを見るときの目の疲れ、頭痛、ぼやけ、複視の原因になることがあります。治療には通常、近くのターゲットに両目を合わせる練習である輻輳開散運動のトレーニングが使われます。

輻輳不全のビジョントレーニング用ゲームは、こうした練習をデジタル化したものです。多くは赤青メガネやVRヘッドセットを使って左右の目に少し違う像を見せ、プレイヤーは2つの像を1つに融像したまま保ちます。多くのプログラムは、セッションごとに難易度を調整します。

コンピューターのプログラムは新しいものではなく、自宅専用でもありません。CITT試験の通院訓練では、コンピューターを使う器具と使わない器具の両方が使われました。CINAPSという大人の試験では、自宅練習はすべてコンピューターで行われ、通院のセッションにもコンピューターによる視能訓練が含まれていました。

大規模試験でわかった自宅でのコンピューター訓練の結果

2008年にArchives of Ophthalmologyに掲載された輻輳不全治療試験(CITT)では、自宅用のコンピュータープログラムを直接比較しました。9歳から17歳の子ども221人を12週間追跡しました。一つの群は、Home Therapy System(HTS/CVS)ソフトウェアを1日15分とペンシルプッシュアップ5分を、週5日行いました。プログラムは、子どもの成績に応じてセッションごとに練習内容を変えました。眼科の専門家の方は、臨床家向けの記事輻輳不全のゲームを使った訓練(英語)をご覧いただけます。

12週間後、週1回の通院訓練に自宅練習を組み合わせた群では73%の子どもが成功または改善でした。自宅でのペンシルプッシュアップは43%、自宅コンピューター群は33%、プラセボの通院訓練は35%でした。症状については、自宅コンピューター群はプラセボと差がありませんでした。同じグループによる2005年の予備試験でも、通院訓練のほうがペンシルプッシュアップやプラセボより改善が大きいことがわかっていました。

2件目の試験では、自宅での訓練だけを比べました。2016年にOptometry and Vision Scienceに掲載されたこの試験は、子ども204人を自宅コンピューター訓練、自宅プッシュアップ、自宅プラセボプログラムに無作為に割り付けました。どの群でも大半の子どもは12週時点で成功に達せず、プラセボでも成功した子どもがいました。この研究で集まったのは、計画した子どもの人数の34%だけでした。

2020年のコクランレビューは、これらの試験をまとめました。子どもでは、通院訓練と自宅練習の組み合わせが自宅コンピューター訓練を上回るという、確実性の高いエビデンスが示されました。2つの自宅での方法の間や、どちらかとプラセボの間には、はっきりした差は見られませんでした。

自宅でのコンピューター輻輳訓練を含む、子どものランダム化比較試験。割合は12週時点で各研究の評価基準を満たした人の割合です(CITTは「成功または改善」、2016年の試験は「成功」)。著者らの報告によります。
試験子ども自宅コンピューター訓練比較群
CITT、Arch Ophthalmol 2008221人、9歳から17歳33%が成功または改善通院訓練73%、自宅ペンシルプッシュアップ43%、プラセボ通院訓練35%
PEDIG自宅訓練試験、Optom Vis Sci 2016204人、9歳から18歳未満23%が成功自宅プッシュアップ22%、自宅プラセボ16%(集まったのは計画の34%)

自宅と通院:場所と継続が大切な理由

これらの試験の通院訓練は、訓練を受けた担当者による週1回1時間の通院に、週5日15分の自宅練習を組み合わせたものでした。自宅群は練習方法を教わった後、確認の頻度が少なくなりました。CITTでは、自宅群の家族は月1回の通院と週1回の電話を受けました。

2つの方法には違いがいくつもあるため、どれが差を生んだのかを言い切るのは難しいです。

  • 時間:CITTでは、自宅群の担当者との週1回の電話を含めて、通院群に処方された時間は週約135分、自宅コンピューター群は115分、プッシュアップ群は90分でした。
  • 指導:通院では、担当者がすべての手順を指導しました。自宅では、CITTの家族が記録をつけ、コンピューターが保存したデータを通院時に持参しました。
  • 継続:CITTの12週時点で、自宅練習を75%以上の時間行っていると担当者が判断したのは、自宅コンピューター群で67.3%、通院群で91.4%でした。2016年の自宅試験では、後半の6週間で練習が減りました。
  • コクランレビューでは、2件の試験で通院訓練の継続率は96.6%以上で、自宅での継続はそれほど安定していませんでした。

輻輳不全のVRと新しいゲームの研究

研究者は、VRや新しいアプリで輻輳の練習が続けやすくなるかも調べています。これまでのVR研究は各9人から33人で、主に若い大人が対象でした。ある研究では、大人はアナグリフ(赤青メガネ)の練習よりVRゲームのほうをよく続け、33人の大人による予備試験では、通院でのVRは症状や両眼の協調の指標で通院訓練と有意な差がありませんでした。2026年のレビューでは、近くを見るときの目のずれが1.64プリズムディオプトリ減りましたが、輻輳近点や融像性輻輳に有意な効果はなく、自宅のVRプログラムを通院訓練と比べた大規模な試験はありません。輻輳不全のVRのガイドでは、これらの研究と、2026年10月時点でCIについてFDAの認可を受けた唯一のVRプログラムを紹介しています。

スマートフォンのアプリも試されています。2026年の実施可能性研究では、25人を、カメラで目の動きを追うスマートフォンアプリか、自宅でのペンシルプッシュアップに8週間無作為に割り付けました。記録された継続率はアプリで90.1%、プッシュアップで75.4%でしたが、症状の変化に群の間ではっきりした差はありませんでした。

子ども、大人、読書、注意、一般のテレビゲーム

試験の多くは子どもが対象でした。大人では、19歳から30歳の46人を対象にした2005年のCITT試験で、両眼の協調の指標がはっきり改善したのは通院訓練だけでしたが、症状はプラセボを含むすべての群で軽くなりました。50人の大人を対象にした2020年のCINAPS試験でも同じ傾向でした。コクランレビューは、大人のエビデンスはそれほど明確ではないとしています。

両眼の協調の練習が勉強に役立つことを期待する家族は多くいます。9歳から14歳の子ども310人を対象にしたCITT-ART試験では、16週間の通院訓練で両眼の協調は改善しましたが、読解の点数はプラセボ以上には上がりませんでした。同じ試験の2021年の論文では、注意についても訓練はプラセボと差がありませんでした。どちらの群も大きく改善し、著者らはこれを目の練習そのものではなく、集中的なプログラム自体によるものと考えました。

一般のテレビゲームはどうでしょうか。娯楽用のゲームをCIの治療として試した試験や、ゲームがCIの原因になることを示した試験は見つかりませんでした。画面から目を休めることや、見やすい距離を保つといった通常の注意は変わりません。

眼科医に聞きたいこと

自宅でのケアについて、目の専門家の団体の意見は完全には一致していません。米国検眼協会(AOA)は、最も成功率の高い治療は自宅と通院の訓練の組み合わせであり、訓練を行わなければCIは改善しないとしています。小児眼科の団体であるAAPOSは、自宅での治療で十分なことが多く、どの方法が最善かは示されていないとしています。米国眼科学会(AAO)は、医師が通院での練習、自宅での練習、またはその両方を処方することがあるとし、コンピューターを使った練習もあると述べています。デジタル以外の方法は、輻輳不全のトレーニングのガイドで紹介しています。

受診のときに、次の質問をしてみてください。

  • これは輻輳不全ですか? 私の症状は治療が必要ですか? AAPOSとAAOは、症状がない人には治療は不要としています。
  • まず通院訓練、自宅練習、またはその両方のどれから始めるべきですか?
  • 自宅でゲームやアプリを使う場合、どの設定を使い、進み具合をどう確認しますか?
  • どのくらいの頻度で受診し、どんな結果なら計画を変えますか?
  • 新しく複視が出たり、頭痛がひどくなったり、目が痛くなったりしたらどうすればよいですか?

Optics Trainer の位置づけ

Optics Trainer は、iPhone、iPad、Android、ウェブブラウザ、Meta Quest で使える、ゲーム形式の視覚と脳のトレーニングアプリです。両眼の協調のゲームは、上で説明した輻輳のプログラムと同じ種類の課題を使います。目への負荷が上がったり下がったりする中で、2つの像を1つに融像したまま保ちます。それぞれに輻輳(Convergence)版と開散(Divergence)版があります。Odd One Out では、奥行きが飛び出して見える像のペアの方向へスワイプします。Front or Back では、像がリングの手前にあるか奥にあるかを答えます。Motor Fusion は融像性輻輳の練習を参考にしたもので、像のペアがゆっくり離れていき、2つに分かれたときにタップします。Motor Fusion は練習であり、融像性輻輳の臨床的な測定ではありません。スマートフォン、タブレット、パソコンでは赤青メガネを使い、Meta Quest では分離がヘッドセットに組み込まれています。アプリの画面は日本語で利用できます。

Optics Trainer は診断や治療ではなく、上で紹介した研究には含まれておらず、FDA の承認(クリアランス)を受けておらず、日本で医療機器として承認されたものでもありません。通院訓練や、担当の専門家が処方する自宅練習の代わりにもなりません。家での追加の練習を計画と並行して行ってよいと眼科の専門家が判断した場合は、どのように組み込むかを相談し、定期的な受診を続けてください。臨床での眼球運動の測定については、臨床家の方は私たちのクリニック向けサイトのOptics Tracker(英語)をご覧ください。Optics Trainer は専門家による診断や処方された治療の代わりにはなりません。ご自身の状態については、眼科医や視能訓練士などの専門家にご相談ください。

2026年10月時点で、スマートフォンとウェブ版のトレーニングは、App Store では月額 ¥2,500(Google Play とウェブ版は購入時に価格が表示されます)。年間プランもあります。スマートフォンとタブレットのアプリは7日間の無料体験から始められ、無料のウェブアカウントでは1日3回プレイできます。Meta Quest のVRトレーニングは7日間の無料体験の後に有料となり、価格は Meta Quest Store で現地通貨で表示されます。

Optics Trainer の機能とこのガイドの課題との関係
ガイドで紹介した課題Optics Trainer の機能行うこと
難易度が変わる中で2つの像を融像したまま保つデジタルの輻輳練習Odd One Out(Convergence または Divergence)奥行きが飛び出して見える像のペアの方向へスワイプする
赤青メガネやVRを使った、融像した像での奥行き課題Front or Back(Convergence または Divergence)像がリングの手前にあるか奥にあるかを答える
融像性輻輳の練習Motor Fusionゆっくり離れていく像のペアが2つに分かれたときにタップする(練習であり、臨床的な測定ではありません)

Optics Trainer をダウンロード

ダウンロード無料。アプリは7日間の無料トライアル付き。ブラウザでは1日3回まで無料でプレイできます。

よくある質問

テレビゲームは輻輳不全に効果がありますか?

娯楽用のゲームをCIの治療として試した試験は見つかりませんでした。輻輳のために作られたプログラムは試されています。子どもでは、CITT試験で自宅のコンピュータープログラムは症状についてプラセボと差がなく、通院訓練と自宅練習の組み合わせが最も高い成功率でした。

輻輳不全にビジョントレーニングは効果がありますか?

子どもでは、CITTと2020年のコクランレビューで、通院訓練と自宅練習の組み合わせが自宅での方法やプラセボを上回りました。その後のCITT-ART試験では両眼の協調の指標が改善しましたが、症状はプラセボでも同じくらい軽くなりました。自宅だけのペンシルプッシュアップと自宅コンピューター訓練は、プラセボをはっきりとは上回りませんでした。大人では、通院訓練で両眼の協調の指標が改善しましたが、症状はプラセボを含むすべての群で軽くなりました。

輻輳不全のコンピューター訓練は通院訓練と同じくらい効果がありますか?

コクランレビューは、子どもでは通院訓練と自宅練習の組み合わせが自宅コンピューター訓練を上回るという、確実性の高いエビデンスを示しました。通院訓練自体もコンピュータープログラムを使うことが多く、試験の間では指導、時間、フォローアップも違っていたため、どれが差を生んだのかは示せません。

輻輳不全にVRは効果がありますか?

若い大人を対象にした2020年の小規模な研究で、著者らはVRゲームをより良い継続と結びつけました。2026年のレビューでは、VRとデジタル訓練で近くを見るときの目のずれは減りましたが、ほかの主要な指標ははっきり改善しませんでした。自宅のVRプログラムを通院訓練と比べた大規模な試験はありません。

子ども向けのビジョントレーニングのゲームはありますか?

はい、子ども向けのパソコンやアプリのプログラムがいくつかあり、CITT試験でも自宅で一つ使われました。CITTでは、週1回の通院訓練と自宅練習の組み合わせで73%の子どもが成功または改善し、自宅のコンピュータープログラムでは33%でした。ゲームの使い方と再検査の時期は、お子さんの眼科医に相談してください。

ビジョントレーニングのゲームで子どもの読む力は伸びますか?

CITT-ART試験では、通院訓練でCIの子どもの両眼の協調は改善しましたが、読解の点数はプラセボ以上には上がりませんでした。その後の論文では、注意についてもプラセボを上回る効果はありませんでした。

出典

  1. CITT Study Group. Randomized clinical trial of treatments for symptomatic convergence insufficiency in children. Arch Ophthalmol. 2008
  2. Scheiman M, et al. A randomized clinical trial of treatments for convergence insufficiency in children. Arch Ophthalmol. 2005
  3. Scheiman M, et al. A randomized clinical trial of vision therapy/orthoptics versus pencil pushups for the treatment of convergence insufficiency in young adults. Optom Vis Sci. 2005
  4. Pediatric Eye Disease Investigator Group. Home-based therapy for symptomatic convergence insufficiency in children: a randomized clinical trial. Optom Vis Sci. 2016
  5. Scheiman M, et al. Interventions for convergence insufficiency: a network meta-analysis. Cochrane Database Syst Rev. 2020
  6. CITT-ART Investigator Group. Treatment of symptomatic convergence insufficiency in children enrolled in the CITT-ART: a randomized clinical trial. Optom Vis Sci. 2019
  7. CITT-ART Investigator Group. Effect of vergence/accommodative therapy on reading in children with convergence insufficiency. Optom Vis Sci. 2019
  8. CITT-ART Investigator Group. Effect of vergence/accommodative therapy on attention in children with convergence insufficiency. Optom Vis Sci. 2021
  9. Alvarez TL, et al. CINAPS randomized clinical trial: clinical outcome results. Optom Vis Sci. 2020
  10. Boon MY, et al. Treatment and compliance with virtual reality and anaglyph-based training programs for convergence insufficiency. Clin Exp Optom. 2020
  11. Li S, et al. Virtual reality-based vision therapy versus OBVAT in the treatment of convergence insufficiency, accommodative dysfunction: a pilot randomized controlled trial. BMC Ophthalmol. 2022
  12. Islam T, Roy AD. A virtual approach: systematic review and meta-analysis of virtual reality-based therapies for convergence insufficiency. J Optom. 2025
  13. Martinez-Perez C, et al. Virtual reality orthoptic interventions for binocular vision disorders: a systematic review and meta-analysis. J Eye Mov Res. 2026
  14. Khatib A, et al. AI-guided home-based therapy for convergence insufficiency: a comparative feasibility study with pencil push-ups. Bioengineering (Basel). 2026
  15. National Eye Institute. Treatment for common vision disorder does not improve children's reading skills. 2019
  16. American Academy of Ophthalmology. What is convergence insufficiency?
  17. AAPOS. Convergence insufficiency
  18. American Optometric Association. Convergence insufficiency
  19. Optics Trainer. Pricing and platforms (as of October 2026)

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