輻輳不全のVRトレーニング:研究でわかったこと

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輻輳不全のクリニックでの輻輳訓練:CITTでわかったこと

輻輳不全(CI)は、近くを見る作業で両目を内側に寄せにくい状態で、近くを見るときに眼精疲労、頭痛、かすみ、複視が起こることがあります。診断とデジタル以外の方法については、輻輳不全のトレーニングのガイドで紹介しています。

大規模な子どもの試験の1つが、2008年に発表された輻輳不全治療試験(CITT)です。9〜17歳の子ども221人のうち、週1回のクリニックでの治療と自宅練習を行った子どもの73%が、12週間後に成功または改善となりました。自宅でのペンシルプッシュアップでは43%、自宅でのコンピュータープログラムでは33%、プラセボのクリニック治療では35%でした。2020年のコクランレビューは、子どもではクリニックでの治療が自宅でのコンピューター治療より良い結果をもたらしたという確実性の高いエビデンスを見いだし、成人のエビデンスはそれほど明確でないとしました。成人では、CINAPS試験で、クリニックでの治療はプラセボより両眼の協調の指標を改善し、症状は両群で改善しました。自宅でのコンピューターの試験については、輻輳不全のゲームのガイドで紹介しています。

ブロックストリングなしでVRが近見・遠見の輻輳負荷を作る仕組み

ブロックストリングでは、ビーズが実際の距離に置かれているので、遠くから近くへ視線を移すと、目の寄りとピント合わせが一緒に変わります。ヘッドセットは距離を擬似的に作る必要があり、次の3つの方法を使います。

  • 視差:ヘッドセットはそれぞれの目の映像を横にずらします。2つの映像を鼻側に寄せると、1つに見え続けるよう目が内側に寄り(輻輳)、離すと目が外側に向きます(開散)。Boon 2020 では、ゲームの中で2つの映像の間隔を変えました。
  • 仮想プリズム:プログラムはこのずれを、クリニックのプリズムバーと同じ単位のプリズムジオプトリーで表すことがよくあります。Li 2022 では、負荷は基底内方20から基底外方30までで、毎秒2プリズムジオプトリーずつ上がり、視標が二重に見えたときや、片目の抑制の手がかりが消えたときに本人が報告しました。
  • 仮想距離:3Dの場面では、物体を顔の近くに置くことができます。Yang 2025 では、ゲームの視標が目の前約10cmまで近づき、目を寄せさせました。

VRで再現できないこと:ピント合わせと目の観察

多くのヘッドセットでは、輻輳の負荷が変わっても画面の焦点距離は固定されたままです。2026年の Martinez-Perez のレビューは、この輻輳調節の矛盾を「構造的な限界」と呼び、VRトレーニングが日常の見え方にどれだけ生かされるかを減らす可能性があるとしました。Li 2022 では、調節機能障害のある参加者で、VRはクリニックでの治療ほどピント合わせの柔軟性を改善せず、著者らはヘッドセットに可変レンズを加えることを提案しました。

クリニックでの治療は、訓練者が目を観察することにも頼っています。試験で使われたVRプログラムの多くはアイトラッキングを使わず、本人の報告に頼っていました。VERVE の2024年のFDA要約には、アイトラッキングを内蔵したヘッドセットが記載されています。眼科医療の専門家の方は、臨床医向け記事の輻輳近点検査(英語)と融像性輻輳の範囲(英語)をご覧いただけます。

VRの輻輳トレーニング研究

それぞれの研究で著者らが報告した結果は次のとおりです。10歳未満の子どもを対象とした研究はありませんでした。

輻輳不全のVR輻輳研究(著者の報告による)
研究デザイン対象実施場所と量報告された結果
Boon 2020, Clin Exp Optomランダム化、VRゲームとアナグリフ訓練の比較成人18人、平均20.8歳20分、週3回、6週間輻輳近点と融像性輻輳はどちらでも向上し、両者に差なし。実施率はVRで82%、アナグリフで51%
Li 2022, BMC Ophthalmolランダム化パイロット、VRとクリニック治療の比較。プラセボなし18〜35歳の成人33人クリニックで週1時間、12週間どちらも向上。症状、輻輳近点、融像性輻輳、斜位に有意差なし
VERVE 2019 抄録(Islam 2025 による)単群成人9人アイトラッキング付きVR輻輳近点10.4→5.1cm、症状スコア35.6→19.4
VERVE 510(k) 要約、2024単群、企業による研究10〜33歳の25人週2回、1時間、6週間輻輳近点10.8→4.9cm、72%が研究の成功基準を満たした

レビューの結論

IslamとRoyが2025年に Journal of Optometry に発表したレビューでは、平均年齢18〜26歳の60人を対象とした3件のVR研究が見つかりました。治療の前後で輻輳近点は平均3.38cm向上しました。著者らは、サンプルが小さく方法もさまざまなため、確かな結論を出すにはエビデンスが不十分だとしました。

2026年の Martinez-Perez のメタ解析は、ランダム化試験だけを対象としました。CIでは Boon 2020 と Li 2022 です。デジタルとVRの治療で近見の目のずれは1.64プリズムジオプトリー減りましたが、輻輳近点や正の融像性輻輳には有意な効果はありませんでした。エビデンスの確実性は低〜中程度と評価され、VRは選ばれた患者への追加の選択肢となりうるとされました。

ほかのデジタルツールはVRではありません。カメラで目を追跡するスマートフォンアプリの2026年の試験では、記録された実施率がペンシルプッシュアップより高かった(90.1%対75.4%)ものの、症状にはっきりした差はありませんでした。CI以外では、2021年の研究で、ピント合わせや輻輳の切り替えが遅い無症状の成人が25分のVRゲームを1回行うと、ピント合わせと輻輳開散の柔軟性が向上し、著者らはこの研究を小規模で、盲検化もランダム化もされていないとしました。

CITTと比べたVRの現状と、FDAのクリアランス

自宅でのVRプログラムとクリニックでの治療を比べた大規模な試験はなく、CITTと同じ年齢の子どもをCITTと同じ規模で対象としたVR試験もありません。VRとクリニックを比べた唯一のランダム化試験である Li 2022 は、成人33人でクリニック内でVRを行い、プラセボ群はありませんでした。参加者の開始時の輻輳近点は平均約6〜6.6cmでした。CITTとVR研究は、年齢、実施場所、成功の定義も異なっていました。

2026年10月時点で、FDAの510(k)データベースにはCIについてクリアランスを受けた機器が1つ掲載されています。OculoMotor Technologies の VERVE は、2024年6月13日に510(k)の手続きで実質的同等と判断されました(K232930、クラスI)。11〜35歳の人を対象に、医療専門家の監督のもとで処方により使うものです。510(k)要約の臨床研究には比較群がありませんでした。脳震盪に関連するCIのある成人を対象とした、シャム対照の VERVE の試験が参加者を募集中で、主要評価の完了は2027年6月の見込みです。入手方法と価格は会社に確認してください。

AAPOSは、CIでは自宅での治療で十分なことが多く、どの方法が最善かは示されていないとしています。AAOは、医師がクリニックでの訓練、自宅での訓練、またはその両方を処方することがあるとしています。VRが治療計画に合うか、どのように再検査するか、頭痛や複視が出たらどうするかを相談してください。急な複視には緊急の受診予約が必要です。

Optics Trainer の位置づけ

Optics Trainer は Meta Quest で動作し、モバイルアプリと同じゲームとドリルに加え、VR専用のアクティビティがあります。下に挙げるVRの設定は、上で説明したのと同じ種類の技術を使っています。アプリの画面は日本語に対応しています。

設定の仕組み:コントラスト、明るさ、ぼかしは左右の目ごとに自分で調整できます。輻輳開散のレベルはアプリ内のテストで決まります。毎日のワークアウトには輻輳開散の範囲をゲーム形式で調べるテストが含まれ、その結果からワークアウトが組まれます。これは練習の結果であり、臨床的な測定ではありません。水平・垂直・回旋のずれはキャリブレーションの手順で設定し、入力した値で融像してはっきり見えるかをアプリが確認するため、任意の値には設定できません。特定の目の症状がある場合は、眼科医療の専門家の指導のもとでこれらの設定を使ってください。Optics Trainer は治療に関する指示は行いません。

Optics Trainer はここで紹介したどの研究にも含まれておらず、VERVE やクリアランスを受けた機器ではありません。練習であり、治療や診断ではなく、FDA の承認(クリアランス)を受けておらず、日本で医療機器として承認されたものでもありません。クリニックでの治療や、臨床医が処方する訓練の代わりになるものではありません。どの設定を使うか、使うかどうかは、眼科医療の専門家が判断することです。測定が必要な臨床医の方は、クリニック向けサイトのOptics Tracker(英語)をご覧ください。Optics Trainer は専門家による診断や処方された治療の代わりにはなりません。ご自身の状態については、眼科医や視能訓練士などの専門家にご相談ください。

2026年10月時点で、Meta Quest アプリは7日間の無料トライアルの後、Meta Quest Store で現地通貨の価格が表示されます。同じゲームは赤青メガネを使ってスマートフォン、タブレット、ウェブで動作します。App Store では月額 ¥2,500(Google Play とウェブ版は購入時に価格が表示されます)。年間プランもあります。スマートフォンとタブレットでは7日間の無料トライアル、ウェブでは1日3回の無料プレイがあります。

  • 輻輳、開散、仮想プリズムの輻輳開散の設定。VR研究で使われたのと同じ種類の、視差による負荷です。
  • Convergence と Divergence のバージョンがある Odd One Out、Front or Back、Motor Fusion。輻輳開散運動のトレーニングのガイドで紹介しています。輻輳開散の結果を表示するゲームもありますが、それは練習の結果であり、臨床的な測定ではありません。
  • 両眼(MFBF)モード:両目を開けたまま、それぞれの目に別の視標が表示され、片目ごとのコントラスト、明るさ、ぼかしを設定できます。
  • 周辺融像のアクティビティ:ずらした背景の物体は、融像したときにだけ奥行きが見えます。

Optics Trainer をダウンロード

ダウンロード無料。アプリは7日間の無料トライアル付き。ブラウザでは1日3回まで無料でプレイできます。

よくある質問

輻輳不全にVRは効果がある?

9〜33人の若い成人を対象とした研究では、VR治療の後に輻輳近点と融像性輻輳が向上しました。クリニックでの治療と比べた唯一のランダム化試験である成人33人のパイロットでは、症状や両眼の協調の指標で群間に有意差はありませんでした。2026年のメタ解析では、近見の目のずれが1.64プリズムジオプトリー減り、輻輳近点や融像性輻輳には有意な効果はありませんでした。

輻輳不全のVRはクリニックでの視能訓練と同じ効果がある?

まだわかっていません。自宅でのVRとクリニックでの治療を比べた大規模な試験はありません。成人33人のパイロット試験では有意差はありませんでしたが、VRのセッションはクリニックで行われ、プラセボ群はありませんでした。

輻輳不全でFDAのクリアランスを受けたVR治療はある?

あります。2026年10月時点で、VERVE が2024年6月に510(k)でクリアランスを受けており、11〜35歳の人を対象に、医療専門家の監督のもとで処方により使うものです。510(k)要約の臨床研究は25人で、比較群はありませんでした。

ブロックストリングなしでVRはどうやって輻輳を鍛える?

それぞれの目の映像を横にずらして、1つに見え続けるよう目を内側や外側に向けさせます。多くはプリズムジオプトリー単位で段階的に変えます。または3Dの場面で物体を近くに置きます。実際の視標とは違い、ヘッドセットの焦点距離はたいてい固定されたままです。

VRで目が疲れることはある?

あります。2026年のレビューによると、ヘッドセットの固定された焦点と変化する輻輳の食い違いが快適さを損なうことがあります。Meta の警告は、休憩をとることと、両眼視の問題がある場合は先に医師に相談することを勧めています。目の痛み、頭痛、複視が出たら中止してください。

子どもも輻輳不全のVRを使える?

輻輳不全のVR研究の多くは成人が対象でした。VERVE は11歳から、医療専門家の監督のもとでの使用についてクリアランスを受けています。2026年10月時点で、Meta は Quest アカウントの最低年齢を10歳としています。

出典

  1. CITT Study Group. Randomized clinical trial of treatments for symptomatic convergence insufficiency in children. Arch Ophthalmol. 2008
  2. Scheiman M, et al. Interventions for convergence insufficiency: a network meta-analysis. Cochrane Database Syst Rev. 2020
  3. Alvarez TL, et al. CINAPS randomized clinical trial: clinical outcome results. Optom Vis Sci. 2020
  4. Boon MY, et al. Treatment and compliance with virtual reality and anaglyph-based training programs for convergence insufficiency. Clin Exp Optom. 2020
  5. Li S, et al. Virtual reality-based vision therapy versus OBVAT in the treatment of convergence insufficiency, accommodative dysfunction: a pilot randomized controlled trial. BMC Ophthalmol. 2022
  6. Yang HK, et al. Virtual reality head-mounted display game for intermittent exotropia in a randomized controlled trial. Sci Rep. 2025
  7. Yaramothu C, et al. Virtual eye rotation vision exercises (VERVE): a virtual reality vision therapy platform with eye tracking. Brain Stimul. 2019
  8. Islam T, Roy AD. A virtual approach: systematic review and meta-analysis of virtual reality-based therapies for convergence insufficiency. J Optom. 2025
  9. Martinez-Perez C, et al. Virtual reality orthoptic interventions for binocular vision disorders: a systematic review and meta-analysis. J Eye Mov Res. 2026
  10. Khatib A, et al. AI-guided home-based therapy for convergence insufficiency: a comparative feasibility study with pencil push-ups. Bioengineering (Basel). 2026
  11. Munsamy A, Paruk H. A study to assess the feasibility of utilising virtual reality for the treatment of accommodative and vergence infacility. Br Ir Orthopt J. 2021
  12. US FDA. 510(k) K232930: VERVE. 2024
  13. US FDA. 510(k) K232930 summary and indications for use. 2024
  14. ClinicalTrials.gov. NCT06105892: Eye Recovery Automation for Post Injury Dysfunction (iRAPID)
  15. AAPOS. Convergence insufficiency
  16. American Academy of Ophthalmology. What is convergence insufficiency?
  17. Meta. Meta Quest 3 health and safety warnings
  18. Optics Trainer on the Meta Quest store

関連ガイド

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Optics Trainer の Meta Quest アプリには、輻輳、開散、仮想プリズムの設定と両眼の協調のゲームがあり、映像の分離はヘッドセットに内蔵されています。練習であり、治療ではありません。Quest アプリは7日間の無料トライアルから始まり、同じゲームは赤青メガネを使ってスマートフォン、タブレット、ウェブでも動作します。

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